発行元 美術手帖編集部 .
エディションノート
大量消費社会と好景気、原発事故やエイズの脅威──楽観主義と閉塞感が同居した80年代は、美術の領域でも、ジャンルや枠組みを越境しながら新しい表現を生み出そうとするエネルギーが渦巻いていた。
本特集ではこうした傾向が際立った80年代前半のアートシーンを中心に、同時代の思想や文化との影響関係も概観しながら、表現者たち一人ひとりの静かな闘争に迫りたい。
パート1ではまず80年代の代表的なアーティスト・作品を解説つきで紹介。つぎに「ニュー・ウェイブ」と呼ばれる80年代のアートシーンについて、その中心にいたアーティストたちへのインタビューを通してその実態を分析。さらに当時熱気があった「日本グラフィック展」において、美術とイラストの領域横断が起こっていた状況と、同展を主宰していたパルコの戦略について、企画者らへのインタビューを通して明らかにする。
パート2では、美術とクロスジャンル的な展開をみせたカルチャーの状況を概観する。音楽、思想、ファッション、演劇、マンガ、アニメ、出版など各分野における動きを紹介する。そのほか、批評、海外から見た日本の80年代美術などについての論考も掲載する。