時の娘 (ハヤカワSF・ミステリebookセレクション) by スティーブン・レビツキー;ダニエル・ジ… ダウンロード PDF EPUB F2
知らなかったのですが、こちら、1951年の作品らしいです。
警察官が、古い資料から警察の捜査方法でリチャード3世がらみの歴史的事件を探る話。古い本なので、江戸川乱歩などの昔の推理小説を彷彿とさせる、理論立てて考えるタイプ。新しい物はDNA鑑定や監視カメラ・インターネット・GPSなどを駆使して捜査するので、テクノロジーの発展と共に推理小説と呼べるものは姿を消しつつある感があります(犯罪小説とかミステリーとか呼ばれてますよね。)ので、昔の、理詰めで捜査するタイプが読みたい方向け。
イギリスやフランスの歴史関係なので、ある程度知識がないと少々難しいと思いました。好みはありますが、かなり版を重ねているので、名作なのだろうと思います。
歴史はどうやって捏造されるのか、が興味深いです。
病院のベッドのなかで推理する、それも歴史的な事件を…。
時の娘というタイトルと表紙の肖像画からは分かりませんが、あらすじを読んで興味を持ち本を買いました。その本は奥にしまわれて取り出すのも大変なので、また読んでみたいと電子版も購入です。
推理の内容も面白かったですが、ラストで肖像画を見せた看護師たちの“普通の”コメントが印象に残っています。学校で教えられたことに疑問を持つことなく素直に受け入れても、過去の出来事なんだから今の自分には関係ない、という態度。これまでの推理を白紙に戻すかのようなラストが意外でした。
肖像画といえば、ジャンヌ・ダルクが奉じたシャルル7世の肖像は、いかにも権謀を巡らすタイプに見え、画から受けるままなら臣に信頼を持たせるような人物とは思えないとつくづく思いました。