発行元 西田和明 .
エディションノート
本書は「ラジオノート」シリーズの第1, 2, 3章をまとめたものです.
本書の目次は以下の通りです.ストレートラジオの製作例を紹介し,同調回路と高周波増幅回路の原理を解説しています.製作例は,ブレッドボードを用いることで半田ごてを使い慣れない初心者にも組み立てやすいものを紹介しています.また,原理の解説では,途中を省略することなく理論式を導出して,さらに,実際のラジオの具体的数値と対応づけています.
第1章 ストレートラジオの製作
1.1 組み立て
1.2 調整
第2章 同調回路
2.1 組み立て
2.2 理論:同調
2.3 理論:共振回路と次段の高周波増幅回路との接続
2.3.1 一次巻線と高周波増幅回路の接続
2.3.2 トランジスタの静電容量の影響
2.3.3 二次巻線と高周波増幅回路の接続
第3章 高周波増幅回路
3.1 組み立て
3.2 理論: 直流特性
3.3 直流特性 コレクタ電流変動値の推定
3.3.1 ベース・エミッタ間電圧VBEの変化の影響
3.3.2 コレクタ電流ICと電流増幅率hFEの関係の非線形性
3.4 理論:小信号特性
3.5 理論: 1 [MHz]以下の周波数領域の特性
3.6 理論: 1 [MHz]以上の周波数領域の特性
3.6.1エミッタの拡散容量の影響
3.6.2 コレクタ・ベース間の接合(空乏層)容量の影響(ミラー効果)
3.6.3 ミラー効果の精度のよい近似
3.7 理論:プローブ,ブレッドボードの影響
3.7.1 FETソースフォロワ回路
3.7.2 プローブの静電容量の影響
3.7.3 ブレッドボードの漂遊容量の影響
3.7.4 カットオフ周波数10[MHz]の実現
本シリーズの狙いは以下の通りです.
(1) 電子回路の初学者の道しるべとなるように,電子回路を実際の回路と対応づけて論じています.
本書は大学・高専の教科書に出てくる電子回路を実際のラジオの回路と対応づけて,その理論と実際を論じています.ラジオは身近にあって,しかも,アナログ電子回路のエッセンスが全て詰まっています.座学で学ぶ電子回路論と具体的なラジオの実験結果との対応づけが,難しい電子回路を学ぶ上での道しるべとなります.
(2) 電子回路を一通り学んだ人がさらに理解できるように,電子回路を深く論じています.
大学や高専の教科書では簡単にしか触れられていなかったり,省略されていたりする電子回路の理論を,本書ではさらに一歩進めて,一歩深めて,導出の過程を省略せずに,ていねいに論じています.本書は,アナログ電子回路を一通り学んだ人が,実はよく分かっていなかったところをなるほどなるほど,と深く理解する助けとなることができます.
本シリーズを読破した読者はアナログ電子回路論を深く理解していることでしょう.
本シリーズの読者からいただいたコメントに
1.それぞれラジオの組み立て編があり写真や立体配線図から実際に作っている気になれた.
2.グラフやオシロ画面がカラーで印象深かった.
3.式の変形過程が省略されずに丁寧に記述されていて分かりやすかった.また,「しっかりついてきて」,「長いけどがんばって」などの言葉で,注意を喚起できた.
4.電子回路の基礎理論と製作例の対応が見事にとれていた.
5.実験値と理論値が、検討を深めていくうちにしだいに合ってきた。
というものがありました.
ラジオノートシリーズは以下のURLにあります.
http://www.mybook-pub-site.sakura.ne.jp/Radio_note/index.html
著者紹介
1985年名古屋大学大学院工学研究科電気系専攻博士後期課程修了
現在 名古屋大学大学院工学研究科教授・工学博士
専門 電気工学,ソフトコンピューティング